オツカレサマ

 

(○月×日)

目が覚めて、驚いた。

自分が自分じゃないようだ。

なんてこったちきしょーめ。私は恋をしたらしい。

まさかこの私、文科系メガネショートちゃんこと佐藤みのりが恋だなんて。

今 日(昨晩?)いきなり彼が夢に出てきた。
放課後の教室に彼と二人きりという夢ならではのありえない設定。
私は何が楽しいのか阿呆のようにはしゃいでいて、 それを彼が楽しげに見つめている。
「これだ!」と心の中で強く確信する私。
今思えば何を「これだ!」と強く確信したのか全く思い出せないのも夢ならでは。

目が覚めてしばらくしてから寂しさとも気恥ずかしさが一気に襲ってきて、
そのあと、体の内側で目に見えない微小な何かがぞわぞわと動きまわっているような感じがした。

なんだろうこの感じ。切なくて、恥ずかしくて、それなのに世界中に声を大にして叫びたい。彼の名を。

これが恋というものか。変だ。心が変だ。「心」が「変」になると書いて「恋」。なるほど。



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