あまりのタイミングの良さに呆然としているオレを少女は無表情に一瞥すると
今度はややはにかんでおっさんに話しかける。

「おじさん、こんばんは。どう?住み心地は」

「思ったよりいいね。快適だよ」

「それはよかったわ」

「前に住んでた人が家具も残していってくれたのもありがたいね。
それでいて相場よりかなり安いなんて、ひょっとしてこの部屋、ワケあり物件だったりして?」

「そうね。前の住人が今もここにいるわ」

「カンベンしてよ〜、オレが霊感全然なさそうだからからかってるだけでしょ?」

「どうかしら? ところで今月分の家賃まだいただいてないんですけど」

「へいへい。少々お待ちを」

「おい!いったいどういうこ……」言いかけたオレを制して少女は言った。

「まだわからないの?幽霊なのはあなたのほうなの」




(END)



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